給食現場の安全を守る！食物アレルギー対応の全ポイント

学校給食での食物アレルギー対応は、子どもたちの命を守るために欠かせない課題です。本記事では、アレルギー児への具体的な対応策を紹介します。また、保護者や教員との連携のポイントも、あわせて解説しました。日々の業務に役立つ知識を深め、安全な給食提供を目指しましょう！

給食現場で起こり得るリスクとは

食物アレルギーをもつ子どもたちの安全を守るには、日々の業務に潜むリスクを正確に把握し、対策を講じることが欠かせません。業務上のリスクのなかでも、とくに注意すべき3つのリスクについて解説します。

誤提供によるアレルギー反応の発生

アレルギーに対応した給食が別の児童に提供されてしまう「誤提供」は、もっとも深刻なリスクのひとつです。主な原因としては調理室内でのミスや配膳時の確認不足が考えられます。誤提供を防ぐためにも、提供する前には児童名、アレルギー項目、メニュー内容の3点を徹底的に確認する仕組みを作りましょう。

交差汚染によるアレルゲン混入

交差汚染とは、アレルゲンを含む食品や調理器具が、アレルギー対応の食事に触れてしまい起こるリスクです。たとえば、包丁やまな板を使い回す、調理中に手袋を交換しないなどの小さな行動が、重大な事故につながる可能性があります。交差汚染を防ぐためには、アレルギー対応専用の調理器具を用意する、作業スペースを明確に区分けする、調理工程ごとに手洗いや消毒を徹底するなど、アレルゲンが混入しない工夫が必要です。

食材表示の不備や誤解

使用する食材の原材料表示に不備や誤解があると、重大なリスクを見逃してしまいます。たとえば、特定原材料に準じた20品目が食材に含まれているのに記載されていない場合や、表示の言葉が曖昧で判断が難しいケースなどが挙げられます。仕入れの段階での食品表示の細かい確認はもちろん、不明な点があればすぐにメーカーに問い合わせる習慣をつけましょう。また、チーム内で情報を共有し、全員が統一された知識をもつことも欠かせません。

給食管理における対応プロセス

給食現場で安全に食事を提供するには、食品アレルギーに対応するための手順を明確にし、日々の業務に取り入れましょう。基本的な食物アレルギーの対応プロセスについて解説します。

食物アレルギー対応マニュアルを作成する

まずは、チーム全体の基準として機能する食物アレルギー対応マニュアルを作成しましょう。マニュアルには、調理手順、配膳時の確認事項、緊急時の対応方法などを網羅します。とくに、万が一アレルギー症状が発生した際の初期対応や、保護者や医療機関への連絡手順は明確に記載しておきましょう。また、現場での課題や改善点を反映させ、定期的に更新することも心がけましょう。

必須情報の収集と管理：アレルギーリストの作成

児童ごとの食物アレルギー情報は詳細に把握し、リスト化します。リストには、該当する児童の名前、アレルゲン、摂取時の症状、緊急連絡先を明記します。情報は保護者からの聞き取りにより定期的に更新し、最新の状態を維持しましょう。リストを関係者全員が共有できるような仕組み作りも大切です。

栄養士が注意すべき食品の取り扱いポイント

食材選びから調理、提供まで、食品の取り扱いには細心の注意が求められます。とくに重要なのが、原材料表示の確認と交差汚染の防止です。仕入れた食品の表示を確認する際は、特定原材料のうち義務表示とされた8品目だけでなく、特定原材料に準じた20品目も漏れなくチェックしましょう。また、アレルギー対応の食事を調理する際には、専用の調理器具や作業スペースを確保し、通常の給食と分けて作業することも大切です。

給食現場での情報共有と連携を円滑にするための方法3選

アレルギー対応の際には、保護者や教職員、生徒を巻き込んだ全体での取り組みによってリスクは最小限に抑えられます。ここからは、円滑な情報共有と連携を実現するための、3つの方法を紹介します。

保護者と学校でスムーズに情報を共有する

アレルギーをもつ児童に対して正確に対応するには、保護者との密な情報共有が欠かせません。まず保護者からアレルギー情報を正確に収集し、必要に応じて医師の診断書や指示書を提出してもらいましょう。診断書や指示書の情報をもとに対応プランを作成し、給食管理チームと共有します。定期的な保護者会の実施や連絡帳での連携により、スムーズな情報共有が実現できます。

教員・スタッフとの連携で事故を防ぐ

給食時のアレルギー対応は、栄養士だけでなく、教員の協力も必要不可欠です。アレルギーをもつ児童のリストを全員で共有し、どの児童がどのアレルゲンを避ける必要があるのかを把握してもらいましょう。また、アレルギー反応が発生した場合の緊急対応マニュアルを全職員に配布し、年に1度は研修を実施して知識をアップデートすることも大切です。

生徒に対してアレルギーに関する教育を進める

給食管理だけでなく、子どもたち自身がアレルギーに対する理解を深めることも、安全を守るために大切です。たとえば、給食の時間にアレルギーについて話す時間を設ければ、アレルゲンをもつ友達を守るために、どんな行動をとるべきかも学べます。また、対象の児童が自分のアレルギーについて理解し、自ら周囲に伝えられるようになれば、より危険を避けられます。

まとめ

給食現場での食物アレルギー対応は、子どもたちの命を守るために不可欠です。数々のリスクを防ぐためには、アレルギー対応マニュアルの整備や、正確な情報管理が重要です。さらに、現場全体で安全性を高める取り組みも欠かせません。給食時の安全な対応プロセスを効率的に管理し、ミスを防ぐには、専用の給食管理システムの導入が効果的です。次世代型のシステムでは、情報共有や業務効率化をサポートし、安全で質の高い給食管理を実現します。全員が安心して食事を楽しめる環境作りのため、こうしたシステムを取り入れるのも、ひとつの手です。